リブラの野望
世界を震撼させるリブラの野望について。
リブラとは、Facebookが提唱する世界をまたいで使えるグローバルなデジタル通貨のことである。今までの国家が管理する通貨を越えた金融インフラを目指すとの事。
なんせFacebookは世界に27億人のユーザーを持つ巨大なプラットフォーマーである。
世界中に銀行口座が無い人々は17億人いるが、このうち10億人は携帯電話を持っている。つまり、この層が商取引に参加できるようになればとてつもない経済効果を生む。
ビットコインなどの仮想通貨?と思われがちだが、リブラは仮想通貨と違い「安定通貨」を目指す為、価値をドル、ユーロ、円など複数の通貨のバスケット(100%法定通過や国債で)裏付けている。
Facebookが通貨発行の中央集権になるのかというと、そうではなく、リブラ協会という世界の大手企業(100社でスタート予定)が集まった共同集合体が発行する。リブラはブロックチェーンの仕組みを使うが、そのブロックチェーンの承認作業もリブラ協会のメンバーが行う。
ちなみに、リブラ協会へ入るには11億円を拠出する必要あるが、ドルなどの通貨と国債の運用益ですぐに回収出来る見込みだという。
Facebook自体ののベネフィットとしては、リブラによる商取引の増加で広告の効果が高まり、広告需要も増えるため、結果として広告収入を上げることが出来る。
ただしリブラの野望も、実現するには高いハードルがたくさんある。2018年に勃発したFacebookのプライバシー問題でそもそも印象が最悪だし、トランプ大統領からも猛反対されている。
そしてアメリカ当局ならびに世界の当局から最大級の規制をかけられるだろう。
規制面での課題は、マネーロンダリングや犯罪・テロ資金への対策、金融システムの安定、取引の安全確保、個人情報保護、競争政策など多岐に渡る。
世界各国の中央銀行、IMFへの影響を考えると、まったく一筋縄ではいかないし、何度も何度も交渉や仕様変更が必要になってくるだろう。
ただ、こんな突拍子もない野望を、実現可能なレベルで提案出来る時代に突入してきたんだなと、現実を受け止めなきゃならない。