100円のコーラを1000円で売る方法 2
シリーズ2作目のテーマは、「戦略の本質とは、何をやらないかという選択である」
他社と差別化した商品ができ、キャズムを超えアーリーマジョリティまで達したが、その後大手に模倣され、差別化を同質化されていくという問題。
大手にマネされるということはどの業界でも起こりうる当たり前の話。いわばセオリーである。
弱者の戦略の基本は、競合相手と差別化をすることである一方で、強者の戦略は、それを封じめることである。
しかし、差別化を追求して、大手の同質化を防ぐくらいまで差別化が出来れば勝機を見出せる。それはつまり、「選択と集中」をし、「やらないことを決める」ことだ。
トヨタのハイブリッドカーが登場して「低燃費カー」の市場を独占していたが、そこにガソリンエンジンを使いながら同程度の低燃費を実現させたのがマツダのデミオだ。マツダの技術者の人数は、大手メーカーとは違い、かなり少数で開発せざるを得ない状況だった。そこでマツダの開発本部長は、少人数の組織ではあれもこれもできない。だから一点に集中して開発を進めていった。エンジンの「圧縮比」という基本技術に注目し、圧縮比を高めることで燃費を向上させた。
アメリカのローコストキャリア(LLC)
アメリカのサウスウエスト航空は、近距離・低価格の路線に特化することで高収益を出し続けている。
普通の航空会社とは違い、機内食も指定席もビジネスクラスも無く、手荷物転送も無い。ただ、そのようなサービスがない代わりに低価格で乗ることができる。
サウスウエストは低価格だが、発着時間は15分間隔と稼働率を上げ、機体も一種類で保守効率も良く、様々なコストが抑えているため高収益を上げられる。
大手のコンチネンタル航空もマネをして低価格帯のサービスを始めるが、従来路線もそのまま残していたため、サービスが安定せず結果的に大失敗した。つまり、すべてを提供しようとして失敗してしまったということ。
このシリーズでは、差別化をするなら大手もマネできない程の付加価値を追求して、その他のサービスをやめる「選択と集中」が大事であると。
そして、その過程でPDCAを回し続ける。仮説を立て行動し、その検証をしながら修正をしていく。走りながらブラッシュアップしていくということ。
会議でコンセンサスを取ることに重点をおくと何も進まない。過去の成功体験は捨てることも大事。すべての要望に応えることは不可能であり、何かを得るためには何かを捨てる「トレードオフ」という考え方が重要である。