知ってはいけない 隠された日本支配の構造
何を「知ってはいけない」か。
ものすごく端的に言えば、「日本は米軍に支配されている」ということを言っている。
これだけだと、メチャクチャなことを言っていると思われるけど、筆者の矢部宏治さんは、7年間（公文書など）調べに調べた結果、様々な真実が判明し、裏付けを持って主張されている。
僕もこの本で初めて知ったことがいくつかあった。
「マジで！？」「そうなの？！」と、驚かされた。
もちろん、筆者のバイアスがかかった（思い込みの激しい）部分もあるので、そのまま鵜呑みにはしないでおこうと思うが、けっこう勉強になった。
・日本の国土を自由に軍事利用できる権利「基地権」
まず横田空域の話だが、米軍は、東京の横田基地、神奈川の厚木、座間、横須賀と関東の巨大な空域を支配している。
JALやANAの定期便はこの巨大な空域を避けなきゃいけないので、不自然で窮屈な空路を強いられている。
ちなみに、世田谷区や杉並区の空もほとんどが横田空域で、2020年には危険なオスプレイの訓練が始まることになっている。この人口が密集した関東の空を、墜落事故の可能性があるオスプレイが飛ぶなんて、にわかに信じられないが。
それでいうと沖縄では昔からアメリカに占領されていて、住宅街の真上を低空飛行は当たり前、事故も数知れず起きている。ひどい話だ。
あと、民間の旅客機も、米軍の空域のせいで着陸の結構手前で300メートル以下での低空飛行を強いられている。
そのおかげで沖縄の綺麗な海を近くで見られるのだが、乗客へのサービスではなく、しょうがなく低く飛んでいるだけ。
このような米軍の空域は、横田や沖縄の空域だけでなく、日本国本土の各地にもあり（低空飛行訓練ルートが全国各地に）、それらでは、年間1500回も訓練が行われているとのこと。
事実上、日本の空は米軍に自由に使われている。
日本（韓国と台湾も）は、米軍に、
1「国内に自由に基地を置く権利」と、
2「そこから飛び立って自由に国境を越えて他国を攻撃する権利」
を与えてしまっている。
特に後者はとんでもない権利だ。中国やロシア、そして北朝鮮は、このせいで反アメリカの姿勢を崩さないし、日本に対しても良い顔はしない。
一時期、アメリカに戦争でボロ負けしたイラクでさえも、粘り強く交渉し、2の「国境を越えて他国を攻撃する権利」だけは阻止したとのこと。
日本の、ロシアとの北方領土の返還問題は、この米軍との取り決めがある限り進まない。
ロシアからしたら、北方領土に米軍基地を置かれて、そこから攻撃される可能性があるから、この日米の取り決めをやめない限り、絶対に返還はしない。
あぁ、そういうことかと納得した。
・米軍関係者が日本の法によって裁かれない「裁判権」
米軍は日本では治外法権である。
米軍が基地の中だけでなく、基地の外で事故を起こしても、日本は捜査など手出しができない。
「日本国の当局は、所在地のいかんを問わず米軍の財産について、捜索、差押え、または検証を行う権利を行使しない」
と、日米合同委員会の公式議事録に書いてある。
日米合同委員会とは、在日米軍トップ層と、日本のエリート官僚との間で月に2回行われる秘密会議。
その会議で決まった事は、国会を通さず憲法も関係なく、事実上ノーチェックで実行することができる。
これ無茶苦茶じゃない？！こんなの普通許されないっしょ。
コロコロ変わる日本のトップ総理大臣よりも、60年以上も続いている日米合同委員会の方が力関係は上なのか。。どうなんだろう。
実際、過去に何度も米軍にまつわるニュース（米兵が起こす事件）があったが、結果、うやむやにされて真相は闇の中。気づいたら事件を起こした米兵はアメリカに帰国していた、なんて。
・戦時には自衛隊を自由に指揮できる権利「指揮権」
朝鮮戦争が勃発しアメリカが朝鮮半島にに出動する際、留守になった日本の米軍基地を守るために「警察予備隊」を作った。それが自衛隊の前身。
それ以降、憲法には明記されていないがその存在が当たり前となっている。
そして、問題はここからだが、1950年の日米安保条約の際「自衛隊は有事の際には米軍の指揮のもとで戦う」という裏の密約を締結している。
当時の米軍司令官と吉田茂首相が交わした密約文書が残っている。
それが現在までなぜ効力を発揮しているのか？なぜ解除出来なかったのか？不思議でしょうがない。
憲法の9条は何なのか。
表向きには日本は軍隊を持たないし攻撃もしないとしているが、いざ戦争が勃発すると米軍の指示で動かざるを得ない時が来るのか。
でも、見方を変えると、アメリカのおかげで守られていることも事実。
