破天荒フェニックス
この本を通じてオンデーズというメガネチェーンを始めて知った。もちろん田中修治さんというとんでもない人物も始めて知った。
分厚い本だが物語調で書いてあるので読みやすく、小説を読むかのごとくどんどんのめり込んでいってしまう。毎日少しずつ読んでいたが、早く続きが読みたいといつも思っていた。
物語を簡単に説明すると、当時年商20億円のオンデーズを3千万円で買収したところから始まる。なぜこんなに安く買えるかというと、借り入れが14億円もあった為だ。しかも短期借入金なので毎月の返済が約1億円!
冷静に考えたらこんな状態の会社を引き継ぐなんてゾッとする。
物語も最初から資金ショート危機の連続。すべての銀行にリスケ交渉、取引先各社に支払い延期の交渉など、売上拡大のストーリーよりもリアルで泥臭い内容だ。銀行からの与信がない為、新規借り入れなど到底できず、どうやってキャッシュフローを回していくのかハラハラドキドキの連続。
さらに、買収して新社長として乗り込むわけだから、社内の統制も相当苦労しただろうと思う。当時30歳の田中社長だから、年上の役職者からは「この若造が」と思われ、否定的な態度を取られていたようだし。
よほど精神的に図太くないとやっていけないと思う。
あとは、売上が拡大していく中でのさらなる資金繰りの窮地、信用していた人らの度重なる裏切り、自ら企画した新規店舗の大ゴケなど。
失敗したことも赤裸々に語られていて、めちゃくちゃリアルで共感できる内容だ。
僕個人的な話で言うと、普段は会社勤めをしながら不動産投資、トランクルーム投資、コインランドリー事業など副業を手掛けている。
そのために1億円以上の借り入れをし、売上から返済に充てている。もちろん返済後のキャッシュフローが目的だが、うまくいっていることもあるが、全然うまくいかず毎月マイナスキャッシュを生み出すだけのものもある。
正直夜も眠れないほど不安に駆り立てられた時期もあった。
そんな時にこの本を読んだのですごく共感できた。かつ、自分の悩みなんて小っちゃい悩みなんだと思わされた。
人間は、状況が悪い時にどう向き合っていくかで真価が問われるものだ。それを教えてもらった気がする。
田中修治さんは僕と同世代だけど、超頭が良くて度胸と行動力がある。失敗したら自己破産すれば良いやくらいの楽観主義者でもある。
そして一番の魅力は「想いの強さ」「情熱」だろう。まるで引力で引き寄せるかのように、周りに優秀な人たちが集まって来たり、いくつもの窮地を助けてくれるエンジェル投資家をも引き寄せる。
この田中さんの人間力が素晴らしいと思った。