気ままに本要約ブログ

本を読んでアウトプットすることではじめてインプットできる!自分自身の為と、ブログを読まれた方へ少しでも参考になれば良いかなと思い、気ままに書評を書いていきます。

映画を早送りで観る人たち

最近、ちょくちょく聞くが、映画やドラマを2倍速などの早回しで観るといった人がいる。ニュースなどの情報番組なら分かるが、娯楽で観るコンテンツを早回しするなんて、到底理解できない。

がしかし、一定数は早回しで観ている人がいるというのも事実。そのあたりを解明していきたい。

 

ネトフリ、アマプラの影響

まずは環境面の変化からだ。一番大きな影響といえるのは、NetflixAmazonプライムの登場である。月額500円〜1000円程度の定額で、映画やドラマが見放題になったことだ。少し前まではTSUTAYAなどのレンタルショップで一本数百円で借りていたが、もうそんなことする必要はない。ほぼ無限に観られる環境が整ったからだ。昔、映画館に行かなきゃ観られなかった時代からすると、とんでもない時代になったものだ。

つまり何が言いたいかというと、ひとつひとつの映画やドラマの価値が下がったということだ。ひとつひとつの作品で数百円支払う必要はない。何本観てもコストは変わらない。ほぼ無限に観られるということは、どれだけ時間があってもすべての映画は観れない。逆にいうと、面白くない映画に時間を費やしたくない。その時間がもったいないと感じる。だから平気で早回しするし、すっ飛ばして最終回だけ観るのだ。

 

スマートフォンの影響

ネトフリ、アマプラの登場と同じく、スマートフォンの登場によって、映画やドラマの見方が大きく変わった。まず、TVというデバイスで観なくなったこと。そして、家族みんなで同じ番組を観るということも無くなった。一人ひとりに閲覧できるデバイスが与えられたからだ。何なら外出先でも観れるし、通勤時の電車の中でも観れる。

そして何より、早回し(倍速)機能はスマートフォンに実装されているからだ。TVにUSBを挿し込んで観るAmazonFireStickには早回し機能はない。つまり、早回し勢は、スマートフォン(パソコン、タブレット含む)で観る人たちなのだ。

 

早く答えを知りたい

早回しで観る人たちは、主にZ世代の若い人だが、彼ら彼女らは、いわゆるスマホネイティブ、SNSネイティブ世代だ。何か知りたいことがあれば秒で検索して答えを知る。そんなことは呼吸をするくらい当たり前だ。なので、映画を観る際も、あらかじめあらすじを知ってから観たいし、何なら最初に最終回を観て結末を知ってから、最初から観る。つまり、早く答えを知りたいのだ。もどかしい時間はいらない。モヤモヤした状態で観たくない。最初にハッピーエンドを確認したい。もちろん全員が全員そうではないが、Z世代の多くはそんな人たちだと思う。

 

コスパ(タイパ)を求める

2時間の映画を1時間で観る人たちは、時間を無駄にしたくない。いわゆるタイムパフォーマンス(=タイパ)を大事にしている。もし、面白くない映画を2時間かけて観た場合には、なんてもったいない時間を過ごしてしまったんだと後悔する。現代人は忙しい。無料で楽しめるコンテンツが溢れているし、友達とは常時SNSでつながっている。ちんたら2時間もかけて映画を観ているヒマはない。こんな感覚なのだと思う。

 

鑑賞と消費(情報収集)

ここが最も重要なポイントだが、映画を鑑賞するというより、情報収集のために消費しているという感覚。食事でたとえると、「鑑賞」は食事自体を楽しむということ。会話をして、料理を味わって、美味しい美味しいと言って食べる。一方、「消費」は単に栄養素を摂るだけの、機能的な意味をなす。

つまり、映画を早回しする人は、単にストーリーを知って、消費するだけ。この映画観た、知ってるというものが欲しいだけ。友人の話題に入っていけるネタが欲しいだけなのだ。

 

LINEグループの共感強制力

そういう意味では、SNSネイティブ世代は常に友達とつながっているから、話題に事欠かない。あれ観たこれ観たと、情報収集のための映画鑑賞を常にしていないと、話についていけない。話題になっている映画やドラマを表面上だけでも知っておかないと、グループからハブられる。そんな「共感強制力」が働いているのではないか。

 

まとめ

以上のことから、映画を早回し観る人たちの理由が少し分かった気がする。外部環境的な要因、そして現代人の趣味嗜好や文脈。時代は大きく変わったのに、映画は相変わらず2時間の尺で作られている。むしろそちらの方がアップデートしていかないといけないのかもしれない。