消費増税は嘘ばかり
世の中では「財政破綻の危機」が叫ばれ、大抵の人が国の借金が相当まずい事になっていると認識していると思う。
具体的な金額まではあまり知られていないかもしれないが、財政赤字は1000兆円を超えていて、さらに毎年その額は増え続けている状況。
この状況では、いつその「Xday」=財政破綻を迎えるのかと皆不安に感じている。
ただ、この本はその「財政破綻」はしないと言っている。それどころか、各国に比べても日本の財政は健全な方だと。
あまりに真逆の意見だったので、その理由を知りたくて読んでみた。
あっさり結論を言ってしまうと、日本は借金も多いが「資産」も多いから大丈夫だと。
その「資産」とは何か?
政府関係機関に出資や貸し付けをしている金融資産。それと、不動産や各インフラ設備などの非金融資産。世界的に見てもかなり多いとの事。
その「政府関係機関」とは何か?
政策のために作った膨大な数の特殊法人。乱暴に言ってしまえば、要は「官僚の天下り先」である。
著者はその天下り先である特殊法人を民営化(民間に売却)してしまえばかなりの借金返済が出来ると言う。
各省庁の官僚は、自分達の天下り先を無くされたくないために、財政危機を煽って消費税の増税など、国民に負担を押しつけているのだと言う。
あともう一つ主張しているのが、社会保障費を理由に消費税を上げることは馬鹿げてるとの事。
そもそも年金制度は保険の仕組みなので、かけた年金保険料に対して、平均寿命より長く生きたら得をして、平均寿命より先に死んだら損をするという制度設計がされている。
ただ、昔に比べて平均寿命が長くなっているたので、年金保険料の払い込み期間が延びたり、もらえる年齢が上がったりするのは設計上仕方がないとも言っている。
ただ、この不足分を消費税の増税でまかなうというのはお門違いだと言う。
世間でよく言われているのが、年金を納めている現役世代が、年金を受給している高齢世代を支えているというロジック。
これだと日本の少子高齢化社会では本当にあと数十年後には年金制度は完全に成り立たなくなる。
どちらの意見が正しいのか。賛否両論あるのは悪いことではないが、この辺の実態は知っておきたいところだ。
あと、最初の話に戻るが、日本の資産とされている国の所有施設や特殊法人など、結局は買ってくれるところが無いと値がつかないから実際どうなんだろう。
「死産」にならなければ良いが。
まぁこの本で説明されているロジックが分かったので、一つの違う見方としては良かったと思う。
何事も両面から見ることは大事である。