損する結婚 儲かる離婚
結婚に関する法律(民法)はとんでもないと思う。
離婚で動く金は大きくは三つ「慰謝料」「財産分与」「婚姻費用」である。
そのうち「財産分与」と「婚姻費用」のウエイトが大きい。浮気した際の「慰謝料」はせいぜい100〜200万円だし、実際に浮気と判定される証拠を取るのは難しいものである。
「財産分与」は、結婚してから夫婦の間で築いた共有財産を二分割するという事。それがどちらか一方が稼いだものでも当然二分割。(但し別居中の期間は除く)
「婚姻費用」が一番えげつないのだが、まず民法における規定は、「夫婦は相手の生活を自分と同じレベルで維持し、夫婦の資産、収入その他一切の事情考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する義務があるとされている」
つまり、夫婦間でより稼いでる方が、そうでない方に毎月一定の金額を支払う義務がある、という事だ。
婚姻費用=略して「コンピ」は、離婚騒動になって、奥さんと別居をしてからはじめて表に出てきて極めて重要なものとなる。
金額の計算方法は、夫の所得、妻の所得、子供の数と年齢によって、家庭裁判所でほぼ機械的に決まる。
藤澤数希さんの計算式ツール
例えば、夫は年収が700万円のサラリーマン、専業主婦、子供2人(15歳以上)の場合、コンピは14〜16万円(月)
これが自動的に決まってしまう。コンピとはなんて恐ろしいものなんだろう。
そして、こちらが離婚裁判を起こして離婚が成立するまで、毎月ずっと払い続けなければならない。
しかも、裁判はとても長いし、日本では離婚が簡単には認められない。
和解する場合には、何年かのコンピを一括で支払うという形の「解決金」が必要になる。この落とし所の押し問答になるのだろう。
ただ幸いな事に、最近の裁判所では、実質的に破綻している夫婦であるならば、片方がどうしても離婚したいと言っているなら、離婚を認めてやろうじゃないかという「破綻主義」に進んでいる。
別居生活が何年にも及ぶ場合は、有責配偶者(=離婚の原因を作った方)からの離婚請求も認められる。
その他、今の法律はまったく時代にそぐわない事が多い。
例えば民法772条2項
「婚姻の成立の日から200日目を経過した後または婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」
つまり、夫婦は結婚してから初めてセックスをし、離婚して300日後までは前夫とセックスしていたと解釈している。現実にはまったくあり得ないことなのに。
この300日の規定は、明らかに次の夫の子供であるにも関わらず、法的には前夫の子供になってしまう。
現実の生活で考えてみると、夫は朝早くから仕事に出てハードなビジネスワークをし、夜は残業あるいは接待など会食で遅くなる。
帰ってけらは妻にグチグチ言われどっと疲れる。休みの日もゴロゴロしていたらどやされる。
この「内助の功」という法的根拠のせいで、そんな妻にも財産分与で半分ごっそり持っていかれる。
最後に、驚いたのだが、海外は「婚外子」比率が高い。つまり、婚姻関係ではないのに子供が居る状態である。
一番多いのがアイスランドで、67%、次いでフランス、オーストラリア、ノルウェー、スウェーデン、デンマークが50%超え。アメリカは40%。
日本と韓国はダントツ低くて2%。
そもそも、ヒトの配偶システムを科学的に考えた時に、「ゆるやかな一夫多妻」のシステムであり、妻の浮気などのチャネルを通して「精子戦争」が起こっている、というのが自然な状態である。
つまり、上記先進国での婚外子比率は、本来ヒトの自然な形なのかもしれない。
ドライに言うとこんな感じかな。
日本は法律に縛られ、一夫一妻を守っている為に少子高齢化が進んだとも考えられる。
ただ、生まれてきた子供の事を考えると、現状だと浮気相手の子供というレッテルを貼られる。そこは、法律(養育費の支払い義務を徹底)でしっかりと守ってあげる必要がある。あるいは国の予算を使ってでも支援する必要がある。
逆に、婚姻に対する法律はもっとゆるくしてくれないと、時代にまったく合っていないし、結婚するのが怖い(リスクが高い)と思われ、未婚率が更にどんどん上がっていくのではないか。
特に最近の日本のメディアや世論は、不倫に対してめちゃくちゃ厳しいから、日本はそういう意味では住みにくい国になっているのだと思う。