気ままに本要約ブログ

本を読んでアウトプットすることではじめてインプットできる!自分自身の為と、ブログを読まれた方へ少しでも参考になれば良いかなと思い、気ままに書評を書いていきます。

世界から格差がなくならない本当の理由

どの国でも豊かになれば格差が広がっていく。そしてその差は広がっていくばかり。なぜなんだろう。

2017年の国際機関データがある。世界の人口73億5千万人中、上位8人の持っている資産は、人口の半分にあたる下位36億7500万人の資産とほぼ同じだという事実。その上位8人の資産は、4260億ドル(約48兆円7千億円)だ。

もちろん、格差が広がっているとはいえ、「絶対的貧困」層は減少している。絶対的貧困とは、最低限の生活も営むことができない状態。(1日あたりの所得が200円以下という設定もある)

一方、「相対的貧困」層は年々増えている。相対的貧困とは、年間の可処分所得が中央値の半分を下回っている状態のことだ。2015年の日本のデータでいうと、中央値は年収427万円。この年収の半分を下回っている状態。つまり、年収214万以下の人たちが相対的貧困層ということになる。この相対的貧困層の割合は、この25年で12%から16%へ上がっている。

日本においても確実に貧困層が増えていると言える。

世界全体に目を向けると、格差を拡大させた大きな要因として、「グローバリーゼーション」がある。

どういうことか。

たとえば、アメリカである製品を作るとき、アメリカの人件費で作るより、中国などアジアの安い人件費で作る方が圧倒的に安く作れる。消費者としても、安い商品の方が嬉しいわけだから、安い商品がどんどん売れる。そのため、企業はこぞって海外に生産拠点を移していった。その結果、アメリカ国内では失業者が増加した。

つまり「安売り戦争」が失業者を増やし、貧困層を増やしていったのだ。

そして、このグローバリーゼーションのきっかけとなったのは、東西冷戦の終結だった。

1989年にベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終わった。さらに1991年には社会主義を目指していたソ連も崩壊した。資本主義が勝利を収めたことで、資本主義国は恐れるものがなくなり、「もっと儲けよう。格差が広がっても構わないじゃないか」という動きが広まっていった。

アメリカにおいて、その代表的な企業は「ウォルマート」だ。店で取り扱う商品は、主に海外から安値で仕入れた食品や日用品、子供のおもちゃ、電化製品など12万種類以上。ここに行けば何でも揃い、それこそ結婚相手以外は何でも手に入ると言われるほど、ありとあらゆるものを売っている。(とはいえ、最近はAmazonに大分シェアを取られているようだが)

ちなみに、近年の中国は、経済発展とともに人件費の安い国とは言えなくなってきた。そのため、世界の工場、つまり先進国の下請け工場が、さらに安いベトナムカンボジアミャンマーバングラデシュへと移りつつある。今のところ、バングラデシュが最後だろうと言われているので、バングラデシュで人手不足が起きれば、少しは賃金(製品価格)が上がっていくかもしれない。

 

お金持ちが資産を逃す「タックスヘイブン」という国がある。世界中で38の国と地域にあり、流入した資産は推定3520兆円にもなる。

日本から一番お金が流れているのが、イギリス領ケイマン諸島で、資産総額74兆円とのこと。ケイマン諸島は、カリブ海に浮かぶリゾート地で、「カリブ海の楽園」とも言われている。

そんなケイマン諸島は、所得税法人税相続税がすべて0%で、税金は一切かからない。

ここには、名前だけのペーパーカンパニーが多数あり、税率0%の恩恵を受けるため、会社の「籍」だけ置いている。

税金を取らずにやっていけるのか?という疑問だが、ケイマン諸島では、ペーパーカンパニーの設立にあたり、登録料や更新料を徴収していて、金額は約8〜36万円かかる。それが2万社以上あれば、ケイマン諸島の財源としては十分である。つまりはそういうカラクリ。

タックスヘイブンは違法行為ではないため、今のところ抜け穴的に超富裕層の資産が守られている。

しかしながら、この超富裕層が税逃れをしていることが悪いのかと言われれば、そうとも言えない。なぜなら、めちゃくちゃ寄付しているからだ。アメリカの大富豪たちの寄付の総額は、約29兆円とも言われている。ロシアの国家予算が28兆円なので、大国の国家予算くらい世の中に「再分配」されているということだ。寄付の目的はさまざまだが、所得の低い家庭の教育支援や医療支援、あるいは開発途上国への支援などが多い。

つまり、お金持ちは税逃れをした上で、しっかり世の中に還元している。何に使うか分からない国に税金として渡すより、恵まれない人たちに直接渡すというのは、決して悪いことではない。むしろ健全な形だと言える。

 

世界中で格差が広がっていることは事実であり、止めようがないことだ。ただ、世界中で絶対的貧困はなくしていかなくてはならない。事実、少しずつ減っている。ファクトフルネスじゃないが、世の中そんな悪くないよと。むしろ資本主義により、良くなってきていると言える。