自分の意見で生きていこう
社会派インフルエンサーとして、ブログやVoicyなどで活躍している、ちきりんさんのシリーズ4作目にして完結本である。
主張されていることを二つに絞って解説する。
「正解のある問題」と「正解のない問題」
世の中にはあらゆる問題があるが、その問題には、「正解のある問題」と「正解のない問題」がある。
まずはこの区別をすることが大事である。
「正解のある問題」とは、1+1=2のように、正しい答えがある問題だ。たとえば、今月のカード支払いをリボ払いに変更したら、いくら金利が増えるのか?この自動車を買えば、毎年の保険料と駐車場合計した維持費はいくらになるのか?など、ちゃんと計算すれば正しい答えが出てくる。調べたり計算すれば、そこにはちゃんと正解がある。
一方「正解のない問題」はどういうものか。
たとえば、転職すべきか、上京すべきか、Uターン就職すべきか、結婚すべきか、離婚すべきか、など、個人的な選択の問題。あるいは、消費税をもっと上げるべきか、正社員の金銭解雇を合法化すべきか、移民をより積極的に受けるべきか、といった社会問題にも正解はない。
「正解がない」ということは、「間違いもない」ということだ。そもそも「答え」がないのだから、正しい答えも間違った答えもあるはずがない。
こういった「正解のない問題」には「意見」が存在する。私の意見、あなたの意見、〇〇さんの意見があるだけで、決して「正解」があるわけではない。
ここでまとめると、「正解のある問題」は、正しい答えがあるから、「調べる」ことで導き出せる。
一方「正解のない問題」は、正しい答えはないのだから、自分のあたまで「考える」ことが必要になる。
ここで最も大事なポイントがある。それは「いま自分が悩んでいる問題・解きたいと考えている問題」が、「正解のある問題なのか、それとも正解のない問題なのか」を最初に見極めることが、何より重要だということ。
それを間違えると、「正解のある問題について考え続け、いくら時間をかけても答えが出ない」とか「正解のない問題について調べ続け、いくら時間をかけても答えが見つからない」という落とし穴にはまってしまう。
つまり、悩むだけ悩んで「不毛な時間」を費やしてしまうということだ。
「反応」と「意見」
会議の場やSNS上の発言で、ちゃんと自分の「意見」を言っているのか、それとも「反応」しているだけなのか。
それを見極めるポイントは、その人が「ポジション」を取っているかどうか。ポジションとは、野球で言えば「ショート」や「キャッチャー」、サッカーで言えば「フォワード」や「ディフェンス」のこと。
つまり、ポジションとは、発言者が「どこに立っているのか」を示す言葉であり、発言者の「立ち位置」が明確であること。
「自分の意見を言う」とは、「自分のポジションをとること」だと言える。「その人がどこに立って発言しているか」が明確になっていれば、それは「意見」だと言える。
分かりやすくいうと、たとえば、ある議題について、自分は「賛成」なのか「反対」なのかの「立ち位置」をはっきりさせるということ。
その立ち位置を明確にしないまま、ただ批判めいたことを言っている人は、「反応」しているだけで、「意見」を言っていない。
反応のなかには、「ちょっとかっこいい」典型的なフレーズがある。たとえば、
「そう?そうとも言えないと思うけど」
「それって、現実がよくわかっていないと思うよ」
「そんな考え方するなんてびっくりです」
これらは、なんとなく知的に見えるかもしれないが、自分の「意見」は言っていない。何も考えなくても発言することのできる「反応フレーズ」に過ぎない。
とはいえ、意見を言うことに不安を感じるかもしれない。「間違っているかもしれない」という不安。「誰にも批判されたくない」という保身の気持ち。
でも、もう一度言うが、「正解のない問題」には、正しい答えも、間違った答えもない。つまり、それぞれの人の「意見」があるだけだ。
たとえば、会社の新規事業などで、プロジェクトを進めなくていけない時、意見をぶつけ合い議論を交わす。そして、大事なのは、しっかり自分の意見を言い、他者の意見を受け入れて、いまの時点の「最適解」を出すことである。
いつまでも議論を交わしても「正解」は出ないわけだから、いまの時点での「最適解」を出し、それを実行することだ。そして、実行する中でPDCAを回して軌道修正をしていけば良い。
最後に
「自分の意見を言う」ことは、同時に、反論される、あるいは批判されることでもあるので、怖い部分もあるかもしれない。同調圧力の強い日本においては、それはしづらいのかもしれない。
でも、逆に考えればチャンスでもある。
その他大勢の人が自分の意見を言わず、反応ばかりしている中、堂々と自分の意見を発信すれば、抜きん出る可能性がある。インフルエンサーとしての立ち位置に行けるかもしれない。そう思えば、ワンチャンやってみる価値はある。