気ままに本要約ブログ

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ふたつの日本「移民国家」の建前と現実

日本には観光客以外の在留外国人は何人いるのだろう?これをすぐに答えられる人はなかなか居ないだろう。

2021年6月現在、およそ288万人で、日本の人口の2.5%にあたる。

令和2年6月末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁

これを多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれだが、確実に言えることは、これからさらに増えていくということだ。

戦後からの変遷をみてみると、もともと日本で暮らしていた在日韓国人朝鮮人を中心に50万人程度だったが、少しずつ増えて、1990年の100万人から急激に増え始め、現在までの30年間で3倍近くなった。

この大きな要因としては、主にアジア系(中国、フィリピン、ベトナム)の外国人が就労目的で来日して、そのまま定住していった結果だ。

在留資格で一番多いのが、「永住者」で、次いで「技能実習」「特別永住者」「技術・人文知識・国際業務」と続く。

そして、2019年からは「特定技能」という資格が創設された。(詳細は後述する)

日本はこれから少子高齢化社会がますます進んでいくため、働き世代がどんどん減っていく。だから外国人を受け入れてそのレイヤーをカバーしていく必要がある。

 

たとえば、この国のリーダーが「本音」で語ればこういう事だ。

「日本は超高齢社会へ突入するためこのままだと衰退してしまう。経済も社会保障システムも成り立たなくなる。そのため、減少する若者世代を増やす必要がある。とはいえ、今から子供をたくさん増やすことはできない。だから、積極的に移民を受け入れ、大いに働いてもらい、消費してもらい、税を納めてもらいたい。そのために、国としても、移民の人たちにも日本人と同じように、しっかりとした教育、社会保障体制を提供する必要がある。だから、国民の皆さんも、彼らを受け入れ、共存していく姿勢でいてもらいたい。この国の将来のために。」

 

でも、表立ってこんなことは言えない。

なぜなら、国民の多くが「外国人の移民」に対してネガティブだからだ。

自分ら(特に高齢者)の仕事が奪われる、あるいは、犯罪が増える、日本の文化や風紀が損なわれるなど、そんな風に思う国民がマジョリティだ。

つまり、政治家は「移民政策」を掲げると票が取れない。だから表立っては言えない。

そう、「表立っては」言えないのだ。

しかし、政治家や官僚は日本の将来を案じている。このままじゃヤバいことは分かっている。だから、水面下でひっそりと移民を増やしていく政策を行なっているのだ。

それが2019年に創設された「特定技能」という資格だ。

もともと「技能実習」という制度があり、大義名分としては、「日本の技術を習得してもらい、祖国に帰ってからその技術を生かしてほしい」というものだ。

しかし、現実は薄給で奴隷のように働かせる事業者が多い。特に第一次産業第二次産業の「単純労働」は、彼ら無しには成り立たなくなっている状況だ。なので、キツさに耐えられず失踪する技能実習生も少なくない。

その課題を解決するためでもあるのか、その「技能実習生」を正式な労働者として日本に永住させる資格が「特定技能」だ。(1号2号があり、1号は5年まで、2号は上限なし)

技能実習生は本来3年間(最大5年)しか日本に居れないのだが、そんな彼ら彼女らに日本永住のキップを渡すということだ。

日本政府はかねてから、技術を持った「高度人材」には在留資格を与えていたが、ついに単純労働者にも与えられるということだ。

これはどういう意味かというと、そう、事実上の「移民政策」である。