地政学
国際政治が「劇」なら、地政学は「舞台装置」
国家の裏側にある思惑をひも解くスキルを学べる
絵や図でわかりやすく表現されていて、サッと大まかに把握するには良い本だった。
日本は地政学的に恵まれている。すべてが海に囲まれていて攻め込まれにくく、気候も良く自然食物もよく取れる。
沖縄と横須賀には世界一の米軍があり、その抑止力で日本は守られている。あと、石油タンカールートも米海軍が守ってくれているから安定的に石油を輸入出来ている。
一方で、隣国からの近海領土を脅かされ続けている。ロシアから返却されない北方領土。日本にとってはそんなに重要じゃないが、ロシアにとってはめちゃくちゃ重要な島。アメリカに対する防波堤や、北極海ルート開設のための重要な領域だからだ。
中国からは尖閣諸島を脅かされ続けている。国際法的にも日本の領土なのに、執拗に侵入してくる。これは、台湾を統治するために邪魔だからだ。あと、海の領域を広げようとする中国の思惑。
アメリカに至っては、巨大な島国と捉えることができ、世界を制覇しているシーパワーの国。
太平洋、大西洋に面していて、南アメリカを繋ぐパナマ運河も抑えている。
さらに、アジア、中東、ヨーロッパへアメリカ軍が駐屯していて、いわゆる「世界の警察」として各国を見張っている。
中国は、世界一のランドパワーの国。「一帯一路」戦略で陸も海も制したいと意気込んでいる。アジア、中東からヨーロッパにかけて莫大な投資をして各国の拠点を押さえていく。
ただ、一党独裁政治のため、国を統治する治安維持費が国防費を上回っており、将来的にクーデターなど起きて独裁政治が崩れると一変するだろう。
ロシアは世界一国土が広いが、隣接する国が一番多い国でもある。そのため、国境を守るためにかかる費用が莫大となる。
そして年中寒い国。凍らない港「不凍港」を求めてウクライナのクリミアを併合した。黒海から地中海、そして大西洋に出る黒海ルートを確保した。そして新たなルートである「北極海ルート」もこれから開設に向けて動いている。
中東は、イランがその他の国らと対立構造になっている。特にサウジアラビアとはバチバチだ。
イランは、元々アメリカに石油を大量に輸出していた事もあり新米で独裁国家だったが、「イラン革命」によりそこから一気に反米の様相となる。
核を作り始め、それをやめなさいというアメリカ。
聖地「エルサレム」があるのは、ユダヤ人のイスラエル、アラブ人のパレスチナと対立している。
ヨーロッパは、経済圏のEUと、対ロシアの軍事同盟NATOと、国々がまとまることで力を発揮している。ただ、イギリスがここでEUを離脱し一定の距離を取る戦略。どうやら富裕層は離脱したくなかったが、移民に仕事を奪われた貧困層が離脱を支持したようだ。
EUの優等生と言えばドイツだ。ユーロ安で(主に車の)輸出で経済が上向いている。
このように、世界を俯瞰して見ることで、それぞれの国の思惑を知ることができ、世界のニュースに関心が高くなる。