マーケット感覚を身につけよう
この本は2015年発行だが、マーケット感覚というのはある意味永遠に使える考え方だから、ずっと参考になる内容だ。
競合となる相手はどこ?という問いから論理的思考で深掘っていく。
JALとかLLCとかの同業者はもちろんのこと、鉄道、バス関連。そして国際便、国内便、貨物便という分解の仕方がある。
あるいは、そもそも航空事業以外のホテル経営などその他の事業を分解する必要がある。
そしてもっと想像力を膨らますと、オンラインビデオ会議ツールも、ANAのライバルと言える。世界的パンデミック、まさに今のコロナ禍の状況を言い当てたかのような想像力。
ジャパネットたかたはなぜ人気なのか?
まずターゲットをテレビ視聴者に絞っている時点で高齢者や主婦向けの商品を選択していること。つまりEC慣れしている若者は除外している。
そして、プライシングも誰もが届きそうなお手頃なもの。
そして何より、視聴者はたかたに絶対的な信頼をしている。これは例えると、おじいさんおばあさんが、孫と一緒に買い物に行き、孫の勧めるものを信頼して買うようなもの。
だから、孫が勧めてくるものは盲目的に信じて買う。
たかたが売っているのは、「孫のアドバイスという価値」である。
これに関連して、「キュレーション」という、「選んでもらう価値」も注目するべき。
昔からある「セレクトショップ」のように、そのお店が出す洋服のセンスが気に入れば、ずっとそこに通うようになる。バイヤーさんのセンスに任せて洋服を買う。このようになればある意味ジャパネットたかたと同じ状況になる。
北海道のいわた書店という小さな本屋さんは、「あなたに合う本を1万円分、選んでお送りします」というサービスがあり、全国から注文が殺到するという例がある。
本なんてたくさんありすぎて、自分で選べない人は少なくない。そこに、「あなたに合った」本というように「選んでくれる価値」が大事という事。
潜在的な価値に気づくこと
「高校野球、AKB48、B級グルメ、世界遺産」これらに共通して言えることは、誰もが見てわかる、ずば抜けて素晴らしいものを持っているわけでは無いという事。
高校野球は、単なる部活の大会に過ぎないのだが、他の競技とは桁違いのマーケット。
野球は古くからプロ野球が根付いていて、そもそもマーケット層が多いところに、「プロ野球では得られない価値」があるから多くの人を惹きつける。
それは何か?
ずばり「ひたむきにプレーする姿」
アウトになると分かっていてもヘッドスライディングをする。攻守交代は全力疾走。全校で応援する大応援団。プロ野球では観ることが出来ない価値がそこにはある。
AKB48にしても、そんなに美人ばかりが居る訳では無いグループだが、そこにもしっかりと価値がある。
秋葉原のライブハウスから始めて、「会いに行けるアイドル」として、身近な存在として応援できる。そしてそこから売れていくストーリーが応援したくなる。
B級グルメは、B1グランプリというイベントが急激に人気化して一つのブランドとなる。
ユネスコの「世界遺産認定」も、その「ラベル」が貼られる事で世界有数の観光名地となる。
これらに共通する事と言えば、もともと存在していたモノの中に、新たな価値が見出され巨大な市場になっていった。
そしてこの「潜在的な価値に気づく能力」こそがマーケット感覚である。